キールの予想スタイル その3 芝・ダートの短距離戦だけで勝負しよう!

キールだじょ!!

「キールの予想スタイルその2」で逃げ先行馬の前残りを、「前残り有利な」コース・競馬場で狙っていこう!という話をしました。

今回はちょっと趣を変えて、

キールは「芝・ダートの短距離戦」だけを狙っています

というお話です。

中央競馬(JRA)では「短距離戦」は1000m~1400m戦のことを言いますが、ここで短距離戦とは「芝・ダートとも、1000m~1200m」とします。

短距離戦でも逃げ先行馬の前残りを狙えるコースとそうでないコースがあります。もちろんその中から前残りが狙えるコースに絞り込みます。

つまり短距離戦をぐっと絞り込んで、芝なら1200m、ダートなら1000m~1200mのみを狙っていきます。
具体的には、札幌、函館、福島、新潟、中山ダート、中京、京都、阪神、小倉の各短距離戦だけです。

なぜここまで絞り込むのか?それは・・・

「単に予想にさく時間が足りないから」です^^;

みもふたもない理由ですが、Weekdayはフルタイムで仕事をしているキールにとっては大きな要素です。ミニマムで1日8時間労働をしたあと、みなさんはどれくらい競馬予想に時間をかけられますか?

キールは家に帰って、ご飯食べて、お風呂はいって寝るまでの間で、平日ならとれて1~2時間といったところです。金曜日、土曜日、日曜日と競馬にシフトしていくわけですが、土日はレースが始まる時間までという期限が切られていますから、1レースの検討にどれだけがんばっても2~3時間はかけないと結論の出ないキールにとっては、どれだけ効率よく検討できるかは大きな問題です。

そ・こ・で、思い切って「得意レース(または得意になっていきたいレース^^;)をあらかじめ決めてしまう」という荒技を使っているのです。

3場開催なら、1日36レース。すべてのレースを検討するなんてできません。競馬新聞を前日に買って検討しようにも時間が足りません。いきあたりばったりに買ったところで不的中の山を作ることは目に見えてます。

なので、最初から検討するレースを決めてしまおう!ということなのです。JRAに競走馬が何頭いるのかを考えたら、ある程度条件を絞り込んで少ない頭数で勝負するほうが効率が良いですし。

また、芝・ダートのいずれも短距離戦のレースが多く、様々なクラスに短距離レースの番組が組まれているので年間を通して勝負する機会があることも理由の一つです。新馬戦・未勝利戦は検討するデータがキールにとっては少ないので手を出さず、500万下~OP・重賞のレースだけを購入対象にしています。さらに優先出走権のことも考えて、3歳上(4歳上)500万下条件戦と3歳上(4歳上)1000万下条件戦を中心に据えています。「芝・ダートの短距離戦のエキスパート」を目指してます。

ここで芝なら1200m、ダートなら1000m~1200mに絞っているのには、もう一つ理由があります。

「芝・ダート短距離それも芝1200m・ダート1000m~1200mはペースの振れ幅が少ないため展開や決着する時計・上がりが読みやすく、かつ枠順の有利不利が他の距離のレースに比べてストレートに反映する」から

1200mを例にするのが分かりやすいので、これ以降は1200mのレースに絞って書いていきたいと思います。
まず、ペースの振れ幅についてですが、1200m戦というのは、通常ハイペースになることが多いです。

1200m戦でのハイペースとは、前半3ハロンが後半3ハロンよりもおおむね1秒程度早いとき。そして中長距離戦に出現するような前半3ハロンよりも後半3ハロンが早いスローペースは、ほぼ出現しません。前後3ハロンの時計差が1秒未満のミドルペースはそこそこあります。

1200m戦は多くの馬にとって最短距離レースですし、スタートでゲートを出てすぐ加速して有利なポジション(当然前目です)をとりあっていくことになります。

どの馬がハナをとるのか(逃げるのか)、それにくっついて前にいきたい馬がどれだけいるか(または前につけるテンの脚がある馬はどれか)、行き脚がいつもつかなくて後ろからになる馬はどれか、といった情報から展開が読みやすいのです。

逆に2000m以上の中長距離戦では、距離が長くなればなるほど展開は読みづらいです。テンの1ハロン目はどんな距離でも12秒~13秒台(ダートはプラス1秒くらい)。

中長距離でテンをそんなに早くいく馬はいくら逃げ馬でもいませんから、極端な話、どの馬でも逃げようと思えば逃げられます(キールにとっての永遠のアイドルホース・サイレンススズカは例外です)。

しかし1200m戦ではそうはいきません。みんなが前に行きたいので、「テンの速さ」がある馬でないと前目につけることはできません。前にいける馬とそうでない馬がはっきりしているのです。

ですから、何頭「前にいける馬・前にいきたい馬」がいるのか、その馬たちがゲートを出てから最初のコーナーまでどれだけ先行争いをするのか、どんな先行争いをするのかでペースが決まってきます。

また、各1200mのスタートから最初のコーナーまでの形状・高低差がそれぞれ異なっていますから、そのコース特有のペースも生まれてきます。コースによって、逃げ先行馬の頭数によってほぼペースが決定すると言ってよい状態が生まれるのです。

ペースがだいたい読めるということは、おおよその上がり3ハロン(後半3ハロン)の時計もだいたいわかる、ということになります。これは1200mという距離がレースとしてテン(最初の3ハロン)とシマイ(最後の3ハロン)だけがあって、ナカ(テンとシマイにはさまれた中盤)がないという、シンプルな構造をしているからです。

中長距離戦になると、レース展開はテン・ナカ・シマイと便宜上三分割でき、かつペースもスローペース、ミドルペース、ハイペースと様々になります。そして新馬・未勝利から上級条件になるにつれてテンもシマイも早くはなりますが、顕著に差がでるのはナカのラップになるという傾向があります。

距離が長くなればなるほどその分だけナカ(中盤)のラップが問題となり、展開を構成する要素がたくさん増えるわけですから、展開予想はどんどん難しいものになるというわけです。

2017年8月27日(日曜日)小倉10R別府特別・芝1200m・1000万下ハンデ戦を振り返る

ここで、芝1200m戦の例として、2017年8月27日(日)に実施された小倉10R別府特別・1000万下ハンデ戦を振り返ってみましょう。

レースは1番人気の2枠3番ブラッククローバーが好スタートからハナをとったものの、外から3枠4番エナジータウン、7枠13番ヤマニンアタシャン、8枠15番ベルモントラハイナが追って2番手が3頭。

4頭のあとを、1番アイファープリティ、8番エルカミーノレアル、10番ハピネス、11番ダイシンバルカンが追いかけ、先行集団8頭(15頭立てレース)が固まって第3コーナーに殺到する展開に。前半3ハロンはなんと33.0秒と、かなりのハイペースになりました。テンの2ハロン目の時計は10.2秒でした。

勝った7枠14番ワンアフターは外目から好スタートを切ったものの、外から内から前にいこうと殺到する集団をみながら馬なりに少しずつやり過ごして、先行集団の真後ろ半馬身のところをただ1頭つけて3角へ。

3角入口からは、内ラチから4~5頭分の外目をするすると馬なりに前に進出して、直線に向いて追い出し残り1ハロンで抜け出して2着馬に3/4馬身差で差し切り勝ちでした(上がり3ハロン34.2秒)。レースのラップは以下のとおり。

200m-400m-600m-800m-1000m-1200m
11.9  – 10.3  – 10.8  – 11.4  – 11.4  – 12.0(1ハロン=200mごとの分割ラップ)
前半3ハロンー後半3ハロンのラップは33.0ー34.8で前後で1.8秒差のハイペースでした。勝ち時計は1:07.8。1000万下戦にしては少し早いペースで、1600万下戦に迫る勝ち時計です。

ここで「前残りとちがうじゃん!差し切り勝ちだろ!」と叫んだ方は、ちょっと前までの私です^^;

逃げたブラッククローバー、追いかけたエナジータウン、ヤマニンアタシャン、ベルモントラハイナあたりが前にいくのはこれまでのレースぶりから明らかで、かつ先行して結果を出してきたエルカミーノレアル、ハピネス、ダイシンバルカンまでは予想がつきやすいと思います。

1番アイファープリティは前走、中団から差して500万下を勝ち上がっていますが、休養前は1000万下条件で先行していた馬。今回は外からのプレッシャーのきつい1枠1番にはいってしまったので、先行策をとったのだと思います。ここまでで、先行集団を作ったのが出走頭数15頭のうち過半数の8頭。がっつりとハイペースになるのは見えていたと言えると思います。

ハイペースが予想できるからといって「差し馬」を狙おう、ということではありません。十分「前にいける」と思える14番ワンアフターを狙ったのです。

ワンアフターを狙ったのは「外ワク」だから

芝レースで内枠が有利なのはみなさんご存じだと思います。しかし芝1200mは前にいきたい馬・ポジションをとりたい馬ばかりのレース。小倉芝1200mは第2コーナーのポケットからの発走です。

最初のコーナー(3角)までは、479mの長い下り坂。ただし4角からゴールまでの直線は293mと短く平坦なコースなので、前半3ハロンをがんがんとばしても前が残り、逃げ先行馬が有利なのです。そして1枠はあまり成績が良くなくて、2枠から7枠までがほぼ同じくらいというフラットな特性です(大外8枠もあまり良くありません)。ですから本来だったら、2枠~7枠の逃げ先行馬を狙いたいところです。

ところでこの日、小倉10Rがはじまるまでの小倉芝1200mの1~3着までの枠順と脚質はこんな感じでした。

小倉1R未勝利戦 8枠(先行)ー7枠(先行)ー4枠(先行)
小倉3R未勝利戦 7枠(差し)ー1枠(差し)ー7枠(差し)

前日8月26日の芝1200mの1~3着までの枠順と脚質はこんな感じでした。

小倉1R未勝利戦 5枠(先行)-8枠(差し)-7枠(差し)
小倉5R新馬戦  6枠(先行)-7枠(差し)-5枠(先行)
小倉9R2歳OP  3枠(先行)-6枠(先行)-5枠(差し)
小倉12R500万  4枠(差し)ー1枠(差し)-5枠(差し)

脚質はちょっとわきに置いて、土曜日から日曜日にかけて、5枠から外の枠が増えていると思いませんか?日曜日には7枠・8枠がどちらも絡んでいるのが目立ちます。

小倉開催は7月29日土曜日からはじまって、8月27日は開催も終盤の5週目。途中で降雨もありましたし、そろそろ内目の芝が傷んでいるころ。それでも先行勢が3着以内にはいっているレースばかりなので、当日はまだまだ前が止まるほどの傷みではないと思っていました。

ところが3着以内にはいる枠順が外側へ推移しているのは傾向として出ています。また土曜日の12R、別府特別直前の日曜日3Rの脚質が1~3着とも差しになっているのも要注意でした。

これらのことをあわせて考えると、

①1番人気のブラッククローバーがハナを切って逃げて、少なくとも5頭以上が先行集団を作る
②そのためペースは能力の限り早くなる可能性が高い
③内目でもみあうだろう先行集団が直線を向いたところでバテてタレることで前が詰まってしまい、馬群を縫って内目をとおることは難しくなりそう
④だったら、先行する脚もあり(追走する脚もあることと同義)、もまれずに好位につけられる可能性の高い外目の先行で結果を出している馬(=ワンアフター)を狙おう。

となったわけです。

14番ワンアフターは前走小倉芝1200m500万下を5番手追走から4角3番手まで上がって、直線手ごたえ良く勝ちきった馬。前走は、34.2-34.2で、レースラップは33.7-34.7でした。そして前々走の中京芝1200mではワンアフターは逃げて勝ち馬から0.2秒差の6着で、このときの同馬のラップは、34.2-34.9、レースラップは34.2ー34.7。

他の有力馬は時計こそはやいものの、前半3ハロン33秒台のレースラップを出したレースで勝てずにこのレースに臨んでいます。それぞれの馬は小倉で走ったことがある馬が多くて実力的には横並びという評価がされていました(1番人気ブラッククローバーは単勝オッズ4.5倍、同率1位にオフクヒメがいて、3番人気6.4倍、4番人気7.6倍、5番人気が9.2倍と人気が割れていました。ワンアフターはこのレースは昇級初戦ということで少し軽視され、7番人気で単勝オッズ12.1倍。3番人気アイファープリティは同じく昇級馬だったのですが、再昇級で現級2着の実績と小倉芝1200mでワンアフターより良い時計で勝ち上がっていたので、人気の形でした)。

ということで、前半3ハロンで33秒台でレースが流れれば前にいって勝ちきれる馬は、ワンアフター、ブラッククローバー、アイファープリティくらいと思っていました。またワンアフターが前走で見せたレース運びも、競馬の幅が広がったものとして好材料だと思いました。

案の定、前にいった馬が8頭もいて今回の別府特別のレースラップは上記のとおり、33.0-34.8。そして枠順の有利不利が働いて、ポジション取りを余裕をもって選べたワンアフターが内ラチから4~5頭分外目から回して、残り1ハロンで先頭を捕まえた、という結果になったわけです。

2着はワンアフターよりも後ろからいった、4枠7番アドマイヤスカイ、3着は5番手追走のアイファープリティ、4着が逃げたブラッククローバーでした。この中でさすが1番人気のブラッククローバーは半馬身差くらいをつつかれながら逃げて0.2秒差の4着ですから、強い競馬をしたと言えると思います。

アイファープリティも1枠1番からよく残したと言えるでしょう。次走、ペースが少し緩むか、外目のワクにはいったら狙いたい2頭です。

これは「差し馬」を狙ったのではなく、あくまでも「逃げ先行馬」としてのワンアフターを狙ったのであって、今回はたまたま差しで決着したというふうに考えています(前走も「好位からの差し」と言えますね)。

単なる差し馬(テンの脚がなくうしろからしかいけない馬)は、今回のようにたまたま前半が早くなったときにしか台頭しませんし、前にいく馬が頭数的にたくさんいても必ずハイペースになるわけでもありません。

ハイペースになってもミドルペースになっても、揉まれずに先行しやすい条件に合致する確率が高い馬(その能力のある馬)を狙った、ということなんです。

枠順の有利不利がこれだけ結果に影響するということは、「実力のある強い馬が枠順の不利で惨敗することもある」ということ

力が足りなくても(あくまでも一番強いと思える馬に対してで、まったく「力のない馬」ではありません)、枠順の有利さを味方にして勝ちきることもある、のが短距離戦、芝・ダート1200m戦なんです。つまり、穴をねらいやすい、ということなんです。

短距離戦でスピードの絶対値(持ち時計)を確認することはとても大事だと思うのですが、だからといって「持ち時計が早い順にはレースが決着するわけでもない」のが競馬のおもしろいところ。短距離戦とは言え、持ち時計どおりにいつも着順が決まるわけじゃないんですね。

長々と書いてしまいましたが、これはただの一例であって、次もこのとおりいくとは限りません。何があるのかわからないのが競馬ですから。ただ、今回は期待値として高い方の馬を選んで成功した、ということにすぎません。

ペース読みや枠順の有利不利から期待値の高い馬を読み解くのに、前半3ハロンー後半3ハロンだけを考えれば良い芝1200mそしてダート1200mは、とても向いている、ということをお伝えできていたらと思います。

キールが馬券をちゃんとゲットできればその証明になるんでしょうけど、キールはこれからの犬!温かい目でぜひともキールに清き一票を!^^;的中できるようにがんばっていきます。

キールはたまたま短距離戦に特化していますが、人によっては芝2000mだけとかいろんな切り口があると思います。毎年7000頭ぐらいがデビューするJRAで、しかも限りある時間の中で馬券で勝負する方法の一つとしてとらえていただければと思います。

キールはこんなことを考えて馬券を買っているということが、みなさんの参考になればうれしいです。

P.S.この記事はこちらの本に影響を受けて書いています。本そのものは古いので、コース解説やねらい目などは現時点ではあまり参考になりませんが、基本的な考え方は参考になると思います。というかこの手の本を「そのまま」実践するのは、オススメしません。それがどんなに優れた理論であっても、自分で考えて、実践して、検証して利用するのが吉と思ってます。ご参考までにリンクを貼っておきます^^
プロ馬券師土方吾郎が千二でしか勝負しない理由

 

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